紙芝居 あずきばばあ   (表示されている絵の下に解説文があります。)

@↑ 青葉区鉄町の伝説

今からおよそ200年前の出来事である。

A↑現在のバス道路から宗英寺まで通ずる1本の道がある。当時は牛車やダイハチ車がやっと通れるほどの畔道(あぜみち)だったと言われている。
この道の横には水路があり、奥の方にある谷戸池(やといけ)からの水が流れていた。途中には滝壺があり、滝が流れていた。この滝の所に
水車小屋があった。この水車は現在の志村正治郎さんの先祖が作ったもので、近所の家々もお金をはらって、使わせてもらっていたという。

B↑水車小屋は竹と杉で覆われていて、畔道からは水車小屋は見えず、ひゅ〜がしゃがしゃ ひゅ〜がしゃがしゃ という水車の回る音
だけが竹藪の中から聞こえていたという。この辺りは戸数も少なく、人家の周りにはケヤキの大木や杉、かしの木などが沢山あって
昼間でも鬱そうとし薄暗かったという。

C↑畔道(あぜみち)のわきに1本の大きなサワラの木がありました。ある時、一人の村人が、日が暮れて周りが暗くなってきたとき
畔道を歩いて家に帰ろうとしていた。ちょうどサワラの大木の所に来た時、

D↑おそろしい顔をした男が裸でサワラの木の所に立っていた。村人は腰を抜かすほど驚いて、一目散に走って逃げるように家に帰った。

E↑自分の家につくと、家族のみんなを集め大男の事を話をした。また、もう一人の村人も見たと言い、このことは村中に知れ渡った。

F↑またあるとき、村人の一人が日没の頃、畔道を歩いて竹藪のところまで来た時、竹藪の中で一人の老婆が、竹かごの中に小豆を入れ
川の水でザックザックと小豆を洗っていた。村人は何処の老婆かと思い、近寄ろうとしたその時。

G↑老婆が自分の方を向いた一瞬、村人は血の気が引いたようにびっくりし、逃げるように走って行ったという。その時の老婆の顔は
歯は口から飛び出て、頭からは角が2本出ていた、という。その後、何人かの村人が同じ様な老婆を目撃し、このことが村中に広まっ
たという。それ以来夕暮れ時からは、この畔道を通る人はいなかったという。

H↑村人たちは何人か集まって相談をした。正体を明かしてやる!と言って10人ぐらいで、竹やりや金棒を持って、こっそり近づこうとした。
しかし、このようなときに限ってお男も老婆も出てこなかったという。その後誰が言うとなしに仁王と小豆ババアという名前で村中にうわさされ、夕暮れから夜にかけてこの畔道を通る人はいなかったという。

I↑またあるとき、一人の若者が竹藪のそばを通った時、大きなキツネと小狐を竹藪の中で見たと、村人に話をした。村人たちはキツネが
化けて仁王や小豆ババアになったのではないかというようになった。

J↑ある時村人たちが集まってキツネ狩りをすることになった。どこかに巣穴があるはずだ、と一人が言った。もう一人が滝壺のそばに
あったあったと、キツネの巣穴を見つけた。

K↑と、その時、少し離れたところに火事が起こり、火がどんどん立ちあがっているのが見えた。村人たちはキツネ狩りどころではなく
なって全員が火事場の方へ走って行った。

L↑火事場へ着くとなんと不思議なことに、燃えた跡は何もないのです。確かに火が見えたと、皆んな不思議に思いました。

M↑また皆はキツネの巣の所へ戻りました。ところが、皆がいない間にキツネの家族は逃げてしまい、巣穴は空っぽでした。
それから仁王や小豆ババアは出てこなくなったという。おわり



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